スポーツにおける違法

2019年2月12日 (火)

警視庁による日大アメフト事件捜査報告

 平和&スポーツあれこれ

   こんばんわ!

お元気ですか?

ぼくは、元気ですよ!!

2019年、今年初めて、

久しぶりのブログ更新です。

もっと、頻繁・丁寧に更新したい気持ちはあるのですが、

気持ちだけで時間管理ができず、全くできません。

すみません。

簡単に書ける、Face bookで、

週2~3回一応書いていますので、なんとかそれで勘弁して下さい。

Facebook友だち歓迎です。

ぼくは、

スポーツの平和創造機能を語り続ける

スポーツ弁護士のぶさん です。

NO.155

では、     

昨年2018年5月18日のブログでぼくは以下のことを書きました。

そして、その関連でテレビにも出させていただきました(テレビ朝日)。

これは、どうしても書かざるを得ないですね。

日大アメフト問題です。

平和&スポーツあれこれ 

では、

事故ではなく

事件と考えられる今回の行為について

1.スポーツでの怪我は、

  違法ではない

 スポーツによる怪我は、

「違法性が阻却」されると言います。

あまり聞き慣れない言葉だと思いますが、スポーツを行うに際して、人に怪我をさせることがありますが、そのような場合でも、それは違法行為ではないということです。

ボクシングによるKOが典型で、それは、仮に結果として死亡事故になっても「正当な業務行為」として違法性がないのです。

それは、刑事上も犯罪(傷害罪)になりませんし、民事上も損害賠償(不法行為)の対象にならないのです。

事前に承諾しているとか、許された危険などとして説明されます。

それが、スポーツの怪我における違法性阻却問題なのです。

2.違法行為になる場合

 しかし、違法行為でない、つまり合法であるというのは、その行為が事前に定められているルールに従い遂行された場合のことです。

ルールに反する行為は違法であり、それは競技における違反(反則)として、一定のペナルティが科せられます。

違反者が退場処分になるとか相手方の得点になるとかです。

 確かに

フェアプレイはスポーツでの大切な理念ですが、どのような競技でも、残念ながら違反行為は起こります。

それは、競り合い勝ちたいと思う気持ちと、各自が持っている邪悪な心根(こころね)があるからです。

 そのようなことを見越して、それぞれの競技には反則に対する処分も決められているのです。

ここまでは、それぞれの競技における自治の問題と言えるでしょう。

3.違法行為が

  犯罪行為になる場合。

 ただ、上に述べた、試合内での審判による反則処分にとどまらない

「悪質な違反」も考えられます。

これが、今回の日大の選手が関学のQB(クオーターバック)に仕掛けた行為でしょう。

ビデオで見る限り、あれは

試合中に審判が「反則としてペナルティ」を与える場合を越えています。

つまり、

明らかに意図的に、簡単に言えば試合とは関係の無い

傷害を目的とした行為といわざるを得ません。

 これは、

例えば、野球でピッチャーがバッターに対し、当てようとして意図的にビーンボール(デッドボール)を投げる場合といって良いでしょう。

もちろん、

当てようとしたか否かは「内心の問題(故意か否か)」なので、立証の問題があり、実際の処分はなかなか困難ですし、現に刑事の傷害事件や民事の損害賠償請求事件として問題にされることは、まずありません。

これ以降は、直接の見聞ではないので不正確かもしれませんが、

ぼくの認識は以下のとおりです。

今回、監督が「あれくらいやっていかないと勝てない」と言いました。

また、日大の複数の選手が、監督が「関学のQBを潰してこい」と言ったと聞き、「違反=反則行為をするなら(試合に)出してやる」と言った、これらが事実だとすれば、

当該違反選手と監督は、刑事事件の被疑者となります。

具体的には、「傷害罪の共同正犯」あるいは、

選手は「傷害罪の実行正犯」、監督はその「傷害罪の教唆犯」であると言えます。

4.今後の方向 即退陣!

 大変悲しい事件で、スポーツを愛する皆さんやぼくにとって、残念至極な事件ですが、

今まで明らかになっている内容だけでも、監督は速やかに退陣です。

 そうでなければ、

アメフトという競技が、そして、日大がどんどんみんなから見捨てられていきます。

時間はありませんよ、それぞれの関係者の皆さん。

そして、ぼくは

指導者を指導するシステムの構築を急ぐべきだと思います。

2020は近い!

以上

上記のように書いたのです。

しかし、それ以後の警視庁の捜査で

雰囲気が変わりました。

1.警視庁の捜査結果

 警視庁は、2019年2月5日、

上記アメフト問題で、日大の監督・コーチから選手への

「危険な(悪質)タックル」の指示は認められなかったと、検察庁に報告しました。

エッ?と思ったのは、ぼくだけでなないと思います。

というのは、上記にも書いたとおり、事件直後、

ビデオでの放映なども確認した後、

はっきりと監督が「あれぐらいやらないと勝てないでしょ。やらせている私の責任。」と言っていました。

 そして、それらを受け、アメフト関東学連や日大の第三者委員会は、違法な指示があったことを認め、試合の禁止や監督らを解任していたのです。

 

2.刑事責任の厳格性

 ただ、この問題には、

「刑事事件の有罪」「民事事件の勝訴」には違いがあるとの、

一般の人には分かり難い問題があります。

 つまり、刑事事件で有罪として刑罰を科す場合には、

「厳格な証明」が必要なのです。

 ところが、民事事件で勝訴する場合

「証明の優越」で足りるのです。

 そして、今回は刑事事件です。

警視庁は慎重に捜査をした結果、刑事裁判にして有罪を立証するだけの資料・証拠は集めることができなかったと判断したと思われます。

我々は、このことを確認する必要があります。

 つまり、刑事事件として立件されなかったからと言って、先に決定された関東学連の処分や、監督・コーチの解任が間違っていたとは言えないのです。

 この点、くりかえしますが、一般には分かり難いと思います。

 ただ、この点を理解していただかないと、せっかく反省し、正直に事実を説明した宮川選手が、全くのピエロになってしまいます。

つまり、監督やコーチから指示もされないのに、

彼が勝手に思い込んで相手方選手をケガさせただけだと。

 この結果

監督・コーチは、犯罪の嫌疑不十分として、

宮川君は、犯罪事実はあるが被害弁償もしているし反省もしているとして、

いずれも「不起訴処分」になると思われます。

3.警視庁の捜査を前提として

 もっとも、警視庁の捜査が正しいとして、二つ指摘しておきます。

(1)一つは、正直な宮川君が言う通り、当時、彼がやらざるを得ないと思う「絶対服従の空気」があった事実です。

 彼は、あの行為を行わない限り、試合に出ることができないと思っていました。

現在も日本の体育会に残っている、絶対的な、上意下達、上命下服体制です。

これがあった事実は否定できないでしょう。

 あの局面、監督やコーチに、

自由にものが言えた部員がいたら、ぜひ名乗り出て欲しいものです。

(2)二つめは、実はそれが体育会だけでなく、

もっと言うと日本の教育界での、

自分できちんと考え、自立し、自発的・自律的に行動できない、

私たち日本人の体質の現れだと言うことです。

本当は、このことが今回の事件の一番の問題だと

ぼくは思います。

繰り返しますが、宮川君だけ日大だけの問題ではないのです。

試合相手であった関学や、他の体育会にも互換性の可能性はあった、

さらに自戒を込めて言えば、ぼくなど一般の日本人にも、

逃れることのできない歴史的な負の遺産であるとぼくは考えています。

一言で言うと、「個人主義」の未発達です。

以下、今回の教訓を少し説明しておきます。

4.個人の尊重と

  指導者を指導する体制の確立

 ぼくは、明治以降の日本の体育制度の歪み(ひずみ)だと思います。

1872(明治5)年に日本の学制が誕生したとされます。

 ぼくはその迅速なスピードについて、明治の先達に敬意を表します。

ただ、その教育が、残念ながら当時の西洋列強の侵略・蚕食の危険・圧力もあり、

議論や過程を大切にするべき、本来の教育としての体をなしていなかったのでないかと考えているのです。

結論・結果重視の、上から教え込む、詰め込む形の教育スタイルで、

引き出す形の教育スタイルではなかったのです。

 詳しくは、ぼくの「平和学としてのスポーツ法入門」

16p以下「体育と学校教育」を読んでいただきたいです。

 つまり、時間をかけ大いに議論し、未熟でもいい自分の頭や身体で考え、自立し自律して行動するという、教育に最も大切な部分が欠落していると思わざるを得ないのです。

これは、ぼく自身に対する反省でもあります。

いずれにしても今後、

目覚めた宮川君には、ガンバって、しっかりと自分で歩いて欲しいものです。

アレッ?

 

どこからか、誰かの高笑いが聞こえてきますが。

                                               以上

それでは、

今日の一曲  

まだまだ寒い毎日が続いています。

粉雪

レミオロメン

平和学としてのスポーツ法入門

(民事法研究会)より

今日は16p~を読んで下さい。

 今日も

最後まで読んでいただき、

本当にありがとうございました 

また、覗(のぞ)いてください。

詳しくは、

 2020年までに、

平和を愛する人必読の

増刷された

平和学としてのスポーツ法入門

2017年 民事法研究会  2800円+税

を読んでください。

筆者としては、

まずコラムを読んでいただきたいです。

また、

スポーツ基本法のコンメンタール部分は飛ばしていただき、

最後に読んでいただくと良いと思います。

2019(平成31)年2月11日  

        (NO.155)

スポーツ弁護士のぶさん こと

弁護士辻口信良

太陽法律事務所

住所 〒530-0047

大阪市北区西天満4-8-2 

北ビル本館4階

TEL 06-6361-8888

FAX 06-6361-8889

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nob@taiyo-law.jp

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おもろいもんみっつけた

→友人の辻井一基(つじいかずもと君のブログで、

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2018年6月 5日 (火)

テレビで話したかったこと

 平和&スポーツあれこれ

   こんばんわ!

お元気ですか!?     

ぼくは、

スポーツの平和創造機能を語り続ける

スポーツ弁護士のぶさん です。

NO.134

これまで三回、違法タックル事件について書いてきました。

そのこともあり、5月30日、テレビ朝日の「ワイドスクランブル」と言う番組に呼んでいただきました。

十分話はできなかったのですが、そこで言いたかったことを述べておきます。

1.ひたすら日大バッシング

 この間、マスコミは、事柄をスポーツ問題から社会問題に広げています。

そして、えげつない週刊誌などでは

「日大の断末魔」などと、いかにも「売らんかな!」の表現で、

面白おかしく書く傾向になっています。

曰く

「監督による洗脳」

「黒幕コーチのフェラーリ」

「逃げ込んだ日大病院は一泊10万円」

「特待生予定の女子高校競泳選手の去就」

「面接は針のむしろ、どうなる日大生7万人の就活」

などなど。

2.悪いのは誰か

  ・・・乖離(かいり)

 もちろん、悪いのは直接暴行を行いケガをさせた選手です。

これはまず、きちんと押さえる必要があります。

彼自身、成人ですし、

「やれと言われても、止めなかればいけないことは分かっていたのですが、やってしまった」と正直に告白しています。

 一方、監督・コーチは、

「ルールを守るのは当然」のことで

「確かに『潰せ』とは言ったが、それは、強く当たれの意味であり、ケガをさせることは指示していない」と弁明しています。

監督・コーチの言うとおりだとすれば、

選手の暴力行為は、選手の勝手な思い込みに過ぎず、

それぞれの認識に「乖離」があったことになります。

しかし、連盟は、調査の結果として、

「選手に指示が行われているのは火を見るよりも明らかである」

と言った極めて厳しい言葉で事実認定を行い、

監督・コーチを除名にしました。

 ぼくは、この認定は、

今回多くの映像や録音が残っていること、

選手と監督・コーチのこれまでの関係と言動、

アメリカンフットボールのゲームの構造、

練習方法、試合形式、戦略・戦術などを熟知した人たちによる、

そして関係者からの事情や背景聴取も含めての結論なので、

正確な判断だと思います。

捜査機関よりも正確だといって良いでしょう。

3.踏みとどまれなかった

  弱さの元

 この事件の問題の本質は、

指示された選手が今回の傷害行為を止めることができなかった体質です。

この点については、

ぼくの

「平和学としてのスポーツ法入門」(民事法研究会)の16p以下を読んで欲しいのですが、

結論的なことだけ書いておきます。

 この事件の本質は、

勝利至上主義の弊害とともに、

自由闊達に話し合いのできない大学体育会の

非民主的な体質が如実に表れた事件であるということです。

 そして、

その根本に、

西洋列強による侵略の可能性もあり、

明治以降のわが国の教育制度が、

促成的に結果や結論的なことを覚え込ませ、

上命下服・上意下達

詰め込み教育が行われたことと関係します。

 それは、児童・生徒・学生の

自主性・自発性・自立性を育むことをおろそかにした、

その結果ではないかと考えています。

4.実際の処分

 ここまで社会的に大きくなった事件、

民事的には、選手(学生)同士では示談がすんだと報道されていますが、

刑事的に、このまま何もなしで終わらせることはできないでしょう。

選手が実行正犯であることは間違いありません。

 そして、監督・コーチは、単に選手に傷害への動機(やってやろう)を与えただけであれば、そそのかし、つまり

「教唆犯」です。

ただ、更に激励したり、念押ししたりしていることなどからすると、

実行正犯者は選手ですが、監督・コーチも

「共謀共同正犯」になる可能性もあると思います。

 そして、実際の処罰内容は、

刑法の規定で、教唆犯も正犯者と同じあるいはそれ以上の処罰も可能です。

 反省の度合いなどにもよりますが、

罰金刑だけで終わるのか、正式裁判になるのかも論点です。

5.ガンバれ!日大生!

 冒頭でも書いたとおり、この件は、事故ではなく事件です。

そして、マスコミやネットなどで、

雪崩を打ったように日大バッシングが続いています。

でも、同じアメフトで、もう10年以上前になるでしょうか、京大アメフト部ギャングスタ-の3人が、準強姦罪で懲役刑になった事件がありました。

 それと比べれば?、こんな比較自体どうかとは思いますが、

一般学生が気まずい思いをする必要がないのは元より、当該選手も、きちんと反省し、前を向いて進んで欲しいと思います。

そして、できればスポーツ、

アメリカンフットボールにも復帰して欲しい。

クラブもフェニックスの名前の通り、不死鳥のように蘇ってほしいものです。

ガンバれ!日大生!

 

それでは、

今日の一曲  

ともだちのうた

中村中 なかむらあたる

平和学としてのスポーツ法入門

(民事法研究会)より

今日は引用はありません。

次回、教育のところを引用します。

 今日も

最後まで読んでいただき、

本当にありがとうございました 

また、覗(のぞ)いてください。

詳しくは、

 2020年までに、

平和を愛する人必読の

平和学としてのスポーツ法入門

2017年 民事法研究会  2800円+税

を読んでください。

筆者としては、

まずコラムを読んでいただきたいです。

また、

スポーツ基本法のコンメンタール部分は飛ばしていただき、

最後に読んでいただくと良いと思います。

2018(平成30)年6月4日

と思ったら、丁度日付が5日に変わってしまいました。

おはようございます?!  

        (NO.134)

スポーツ弁護士のぶさん こと

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2018年5月23日 (水)

悪質反則の真実は?

 平和&スポーツあれこれ

   こんばんわ!

お元気ですか!?     

ぼくは、

スポーツの平和創造機能を語り続ける

スポーツ弁護士のぶさん です。

NO.132

では、

日大アメフトでの悪質な反則行為についてのその後です。

前回の5月18日では、

1.スポーツによる怪我は、原則違法ではない

2.違法行為になる場合

3.違法で犯罪行為になる場合

4.今後の方向 即退陣!

この内容で説明しました。

その後、

5月22日に、日大の加害者宮川泰介選手(20歳)が記者会見をしました。

平和&スポーツあれこれ

それでは、

宮川選手の会見内容の要約をしてみます。

1.宮川泰介選手の会見内容

 宮川泰介選手は、「事実を明らかにすることが、償いの第一歩」でああるとし、彼が体験したとする事実を語りました。

そして、監督やコーチにいろいろと言われたけれども、自分が決断して行ったことなので責任を感じていると、明確に、自分の責任を認めました。

そして、もうアメフトをやりたくないとも。

 彼によると、試合の3日前から「やる気が感じられない」として練習から外され、内田監督から、選抜されていた大学日本代表も辞退するように指示されたとのことです。

その上で、宮川選手は、井上コーチを通じてのようですが、「相手のQBを1プレイ目で潰(つぶ)せば、試合に出してやる」と内田監督の意向を聞きました。

 記者会見の中で彼は、追い詰められた気持ちになっており、「やらないという選択肢はなかった」と発言しました。

そして、「QBを潰しに行くので使って下さい」と内田監督に頼みに行き、

監督は「やらなきゃ意味ないよ」と言い、更に、高校時代の監督でもあった井上コーチからは、試合前の整列時に近づいてきて「できませんでしたではすまされいぞ、分かってるな」と念を押されたというのです。

2.事件の発生

 実際に事件は発生しました。

ぼくも、そして皆さんもビデオで見たとおり、明らかに潰しに行っている行為ですし、そのことは、宮川選手自身認めています。

 そして、さらに2回目、3回目の反則行為があり、退場処分を受けました。

退場になり、宮川選手がテントに戻り、ことの重大さに気づいて泣いていたところを、井上コーチに見られ、試合後、次のような会話があったとのことです。

井上コーチからは、「(泣いている)優しすぎるところがダメなんだ。相手に悪いと思ったんやろ」と責められたと言うのです。

 そして、内田監督は、「宮川の行為は、自分(内田)がやらせた。こいつが成長してくれるんならそれでいい。相手のことを考える必要はない。」「周りに聞かれたら、俺(内田)がやらせたんだと言え」と語ったとのことです。

3.日大の反論

 宮川選手の発言を受けても、現在のところ、日大は、監督の選手に対する反則の指示を認めていません。

「選手と監督・コーチとのコミュニケーションが不足していたことにつきましては、反省いたしております。」などとする一方で、

「コーチから『1プレイ目で相手のQBをつぶせ』という言葉があったことは事実ですが、これは本学フットボール部において、ゲーム前によく使う言葉で、『最初のプレイから思い切って当たれ』と言う意味です」と、宮川選手の発言を否定しました。

 そして、反則指示はなかったとする従来の説明に終始したとのことです。

確かに、外部のアメフト関係者の中にも、「つぶせ」という意味を、日大当局の言うように思い切って当たれという形で使うことはあると言う人もいます。

仮に、そうだとすれば、宮川選手が勝手に思い込みをして、悪質な反則を行っただけですから、監督やコーチが非難されるのは筋違いだと言えます。

 しかし、宮川選手は、会見の質疑の中で、はっきりと「つぶせというのは、ケガをさせる意味以外考えられなかった」と答えています。

 ぼくは、宮川選手を試合に起用した経緯、試合中、試合直後、その後の監督・コーチの対応などから考えると、日大当局の説明には無理があると思います。

4.宮川選手、

  監督・コーチの責任

 この事件での責任には大きく分けて2つです。

(1)刑事責任

 はっきりしているのは、宮川選手の行為が傷害罪(刑法第204条)に該当する点です。

 事実が宮川選手が話しているとおりだとすれば、内田監督や井上コーチは、同じく傷害罪の共同正犯または教唆犯になるでしょう。

 仮に、内田監督や井上コーチの行為が、ケガをさせることを指示していないなら、宮川選手だけが傷害罪になります。

 仮に傷害罪になると、略式裁判で50万円以下の罰金か、15年以下の懲役です。

(2)民事事件

 宮川選手がケガをさせたことは間違いないので、被害者の関学生に治療費は元より、後遺症が残れば、逸失利益や慰謝料など金銭賠償責任を負います。

 内田監督、井上コーチは、宮川選手が相手方にケガをさせたことについては、(紛らわしい指示を与えている)過失があると思われ、宮川選手と連帯して損害賠償責任を負うことになります。

5.真相の解明を

 宮川選手が、自発的に記者会見をした以上、監督・コーチも速やかに公の場で説明すべきでしょう。

 と書いていたところ、本日夜になって、急遽内田監督と井上上コーチが記者会見をしたとの情報が入ってきました。

直接見ていないので、その内容は、分からないのですが、報道によると、ケガをさせても良いと言うことは、少なくとも内田監督は言っていないという内容でした。

 要するに、宮川選手が勘違いで悪質な反則行為を行ったと言うトーンだったようです。

 既に内田監督は監督を辞しており、井上コーチもコーチを辞するようです。

ただ、日大のNO2の常務理事の立場について内田さんは、しばらく職務を停止し、第三者委員会による調査の結果を待ってそれに従うという趣旨の発言をされているようです。

 

6.スポーツの本質的価値と

  ずる(反則)

 この事件の本質は、スポーツの本質的価値をどこに見つけるかです。

もちろん、スポーツ競技は、勝つためにやるのですから、そのために、毎日練習に精進し鍛えて、相手方と立ち向かうわけです。 

そうです、みんな勝ちたいのです。

 ただ、競技したことのある人は理解できると思いますが、ふと「悪魔がささやくこと」があるのです。

つまり、「ずる(反則)してでも勝ちたい」と。

このような誘惑に、全く無関係な選手や監督・コーチはいないと思います。

でも、そこで踏ん張るのがスポーツマンです。

 誤解を恐れずに言えば、

日大と関学、それぞれがしのぎを削るライバルだけに、その立場において「互換性」の可能性もあったのです。

 でも、ルールを守り、ずる(反則)をせず、できればフェアプレイでベストを尽くし、それで負ければ潔く敗北を認め相手方を讃える、これがスポーツの良さです。

今回、真相がどこまで明らかになるか分かりませんが、

ぼくは、宮川選手をはじめとする日大のアメフト部員だけでなく、日大に学ぶ学生諸君や日大自体へのダメージが心配です。

7.その他

 内田さんと井上さんの会見内容がはっきりしないので、今回のブログ、また書き直すかもしれません。

 

それでは、

今日の一曲  

忘れな草をあなたに

倍賞千恵子

1971年の歌です。

平和学としてのスポーツ法入門

(民事法研究会)より

今日は引用はありません。

 今日も

最後まで読んでいただき、

本当にありがとうございました 

また、覗(のぞ)いてください。

詳しくは、

 2020年までに、

平和を愛する人必読の

平和学としてのスポーツ法入門

2017年 民事法研究会  2800円+税

を読んでください。

筆者としては、

まずコラムを読んでいただきたいです。

また、

スポーツ基本法のコンメンタール部分は飛ばしていただき、

最後に読んでいただくと良いと思います。

2018(平成30)年5月23日  

        (NO.132)

スポーツ弁護士のぶさん こと

弁護士辻口信良

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2018年5月18日 (金)

日大vs関学アメフトの傷害事件

 平和&スポーツあれこれ

  おはようございます!

スポーツ界の大変悲しい事件です。

緊急で、この時間帯に書きます!

 

ぼくは、

スポーツの平和創造機能を語り続ける

スポーツ弁護士のぶさん です。

NO.131

これは、どうしても書かざるを得ないですね。

日大アメフト問題です。

平和&スポーツあれこれ 

では、

事故ではなく

事件と考えられる今回の行為について

1.スポーツでの怪我は、

  違法ではない

 スポーツによる怪我は、

「違法性が阻却」されると言います。

あまり聞き慣れない言葉だと思いますが、スポーツを行うに際して、人に怪我をさせることがありますが、そのような場合でも、それは違法行為ではないということです。

ボクシングによるKOが典型で、それは、仮に結果として死亡事故になっても「正当な業務行為」として違法性がないのです。

それは、刑事上も犯罪(傷害罪)になりませんし、民事上も損害賠償(不法行為)の対象にならないのです。

事前に承諾しているとか、許された危険などとして説明されます。

それが、スポーツの怪我における違法性阻却問題なのです。

2.違法行為になる場合

 しかし、違法行為でない、つまり合法であるというのは、その行為が事前に定められているルールに従い遂行された場合のことです。

ルールに反する行為は違法であり、それは競技における違反(反則)として、一定のペナルティが科せられます。

違反者が退場処分になるとか相手方の得点になるとかです。

 確かに

フェアプレイはスポーツでの大切な理念ですが、どのような競技でも、残念ながら違反行為は起こります。

それは、競り合い勝ちたいと思う気持ちと、各自が持っている邪悪な心根(こころね)があるからです。

 そのようなことを見越して、それぞれの競技には反則に対する処分も決められているのです。

ここまでは、それぞれの競技における自治の問題と言えるでしょう。

3.違法行為が

  犯罪行為になる場合。

 ただ、上に述べた、試合内での審判による反則処分にとどまらない

「悪質な違反」も考えられます。

これが、今回の日大の選手が関学のQB(クオーターバック)に仕掛けた行為でしょう。

ビデオで見る限り、あれは

試合中に審判が「反則としてペナルティ」を与える場合を越えています。

つまり、

明らかに意図的に、簡単に言えば試合とは関係の無い

傷害を目的とした行為といわざるを得ません。

 これは、

例えば、野球でピッチャーがバッターに対し、当てようとして意図的にビーンボール(デッドボール)を投げる場合といって良いでしょう。

もちろん、

当てようとしたか否かは「内心の問題(故意か否か)」なので、立証の問題があり、実際の処分はなかなか困難ですし、現に刑事の傷害事件や民事の損害賠償請求事件として問題にされることは、まずありません。

これ以降は、直接の見聞ではないので不正確かもしれませんが、

ぼくの認識は以下のとおりです。

今回、監督が「あれくらいやっていかないと勝てない」と言いました。

また、日大の複数の選手が、監督が「関学のQBを潰してこい」と言ったと聞き、「違反=反則行為をするなら(試合に)出してやる」と言った、これらが事実だとすれば、

当該違反選手と監督は、刑事事件の被疑者となります。

具体的には、「傷害罪の共同正犯」あるいは、

選手は「傷害罪の実行正犯」、監督はその「傷害罪の教唆犯」であると言えます。

4.今後の方向 即退陣!

 大変悲しい事件で、スポーツを愛する皆さんやぼくにとって、残念至極な事件ですが、

今まで明らかになっている内容だけでも、監督は速やかに退陣です。

 そうでなければ、

アメフトという競技が、そして、日大がどんどんみんなから見捨てられていきます。

時間はありませんよ、それぞれの関係者の皆さん。

そして、ぼくは

指導者を指導するシステムの構築を急ぐべきだと思います。

2020は近い!

 

それでは、

今日の一曲  

西城秀樹さんが亡くなられました(16日)。

63歳ですから、

まだまだ若いですよね。

元気なあの歌

ヤングマン

振り付けで、一緒に踊り、歌った人も多いのではないでしょうか。

ご冥福をお祈りします。

平和学としてのスポーツ法入門

(民事法研究会 )

今日は引用はありません。

 今日も

最後まで読んでいただき、

本当にありがとうございました 

また、覗(のぞ)いてください。

詳しくは、

 2020年までに、

平和を愛する人必読の

平和学としてのスポーツ法入門

2017年 民事法研究会  2800円+税

を読んでください。

筆者としては、

まずコラムを読んでいただきたいです。

また、

スポーツ基本法のコンメンタール部分は飛ばしていただき、

最後に読んでいただくと良いと思います。

2018(平成30)年5月18日  

        (NO.131)

スポーツ弁護士のぶさん こと

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