ドラフト会議 夢と現実
平和&スポーツあれこれ
こんばんわ!
1ヶ月以上、全く更新できず、ごめんなさい。
前回は10月5日でした。
いまは、頻繁にFacebookを書いています。
その方が簡単に書けるので、歌まで入れて長くなっているブログにまでどうしても回りません。
秋のすっかり深まり、暦の上では立冬も過ぎました。
それでも目を通していただいているあなたに、感謝です。
お元気ですか!?
FacebookはFacebookで、すぐに読めるのでよんでくださいね。
ぼくは、
スポーツの平和創造機能を語り続ける
スポーツ弁護士のぶさん です。
NO.152
では、
平和学としてのスポーツ法入門(民事法研究会 以下入門●p)
と関連して
少し遅くなりましたが、本年度の
プロ野球ドラフト会議情報と感想です。
1.10月25日ドラフト会議
今年のプロ野球ドラフト会議は、東京のグランドプリンスホテル新高輪で開催され、
高校生37人、大学生26人、社会人20人の合計83人が指名されました。
その他に育成ドラフトという公式戦出場が2軍戦に限定される選手も21名指名されています。
プロ野球ファンでなくても、ドラフト会議が気になるという方もおられるでしょう。
テレビや新聞等で、喜びに溢れた球児(若者)の笑顔を見た人も多かったと思います。
2.ドラフト1位指名
響きのいい1位指名は、
小園海斗(広島 報徳学園高)
清水昇(ヤクルト 国学院大 )
高橋優貴(巨人 八戸学院大)
上茶谷大河(DeNA 東洋大)
根尾昂(中日 大阪桐蔭高)
近本光司(阪神 大阪ガス)
松本航(西武 日体大)
甲斐野央(ソフトバンク 東洋大)
吉田輝星(日本ハム 金足農高)
太田椋(オリックス 天理高)
藤原恭大(ロッテ 大阪桐蔭高)
辰己涼介(楽天 立命大)
の12人でした。
3.選ばれた人たち
少子化の影響で、当然と言えば当然ですが、高校での野球部員も減っています。
しかし、野球少年にとっては、憧れのプロからの指名ですから、本当にみな笑顔だったように思いました。
それぞれ、好きな野球チームはあるはずですが、そして、以前は、特に巨人以外は行かないと言って指名を拒否するケースもありましたが(比較的最近では菅野選手・長野選手)、今年はそのようなケースはなさそうですね。
それは、以前と比べ、セ・リーグとパ・リーグの人気が接近してきたこと、今でも確かに巨人の存在感はあるのですが、強さ・人気とも、明らかにかってとは違うこと、
FA制度が出来て一定の年限で移籍も可能になった等が理由で、
最近は「プロ野球界」という一つの企業に入社するという感覚だと思います。
喜びの選手の中には、既にそのチームに入団が決まったような発言が散見しましたが、法律的には、今のところ入団を求める交渉権が決まっただけです。
今年は特に高校生の当たり年とか。
特に大阪桐蔭高校は、上記二人の他に、横川凱(巨人4位)、柿木蓮(日本ハム5位)と、4人も指名されました。
大阪桐蔭は、2005年に辻内崇伸(巨人)、平田良介(中日)が、当時の高校生ドラフトで1位指名されたことがあります。
4.夢と現実
指名された選手、家族、友人などは喜びを隠しきれないのですが、
実は
指名を待っていたけれど指名されなくて、がっかりして失意の若者とその家族、
特に独立リーグなどで、今年を最後のチャンスとして待ったけれど指名がなく、最終的にプロを断念した選手も間違いなくいるのです。
大学入試での東大や京大合格の比ではない過酷な倍率があります。
また、
ドラフト指名の裏に、ほぼ同じ数の選手が、限に所属するプロ野球界を去るとの厳しい現実があります。
プロ野球での平均在籍年数は7~9年です。
20代半ば、30歳前で、戦力外通告される選手が多いのも、間違いのない事実なのです。
また、
25日の指名されたその日が、人生一番輝いた日だと言われる人が多いのも、冷酷な事実です。
少し、過去の話をしておきます。
今年のドラフト会議の翌日、10月26日のFacebookで、マニアックに今年の日ハムドラ1、吉田輝星選手が、辻内崇伸選手のようにならないようにと書いたところ、ある人から質問の電話がありました。
その答は、
辻内崇伸選手が憧れの巨人にドラフト1位指名と、多いに期待されながら、結局2軍生活のままで全く輝けずに引退したことです。
その理由は、ぼくの理解では、高校時代までの投げすぎなのです。
彼は、名前がぼく(辻口)と似ていて、しかもぼくと同じ左投げ、156㎞の剛球、甲子園の一つの試合で19奪三振を取ったりしていて、指名された2005年のドラフト当時から気になっていたのです。
しかし、在籍8シーズンの内、2軍で登板したのさえ、わずか4シーズンだけ。
高校時代までに酷使した影響だと思いますが、入団時から左肩に不安を抱えていました。
一度だけ1軍に昇格したことがあるのですが、登板の機会がないままに、1週間後にまた2軍に逆戻りしました。
そして、結局1軍での登板機会がなく、25歳で引退になったのです。
ぼくの頭の中では、辻内投手のほかにも、活躍が期待されながら、それまでの「投げすぎ」と思われる理由で、プロ野球で輝けなかった選手が思い当たるのです。
最近では安樂智大投手、大丈夫でしょうか?
安樂投手は、春の選抜大会で、決勝戦までで772球を投げました。
斎藤佑樹投手は夏の選手権大会で948球投げています。
以下、大会本部の発表でなく、ネットの資料なので、本当に正確か分からない点もありますが、引用させて頂きます。
括弧内はプロ野球での勝敗(一部選手は途中まで)
<夏>
①斎藤佑樹(早実) 948球(15勝24敗)
②川口知哉(平安) 820球(0勝1敗)
③島袋洋奨(興南) 783球(・・・・・)
④大野 倫(沖水) 773球(野手として24試合1本塁打)
⑤松坂大輔(横浜) 767球(日本114勝64敗 米56勝43敗)
⑥吉永健太朗(日大三) 766球(・・・・・)
⑦福岡真一郎(樟南) 742球(・・・・・)
⑧古岡基紀(京都成章) 713球(・・・・・)
⑨正田 樹(桐生第一) 708球(24勝37敗)
⑩辻内崇伸(大阪桐蔭) 696球(・・・・・1軍登板なし)
以下、一二三慎太(東海大相模) 665球、 田中将大(駒大苫小牧) 658球、
藤浪晋太郎(大阪桐蔭) 516球、 ダルビッシュ有(東北) 505球
<春>
①安樂智大(済美) 772球(5勝12敗)
②丸山貴史(愛工大明電) 765球(1勝2敗)
③筑川利希也(東海大相模) 728球(・・・・・)
④高塚信幸(智辯和歌山) 712球(一軍出場なし)
⑤福井優也(済美) 705球(10勝13敗)
⑥島袋洋奨(興南) 689球(・・・・・・)
⑦西村健太朗(広陵) 678球(30勝25敗33セーブ)
⑧有迫 亮(清峰) 665球(・・・・・)
⑨藤浪晋太郎(大阪桐蔭) 659球(50勝40敗)
みなさん、どうでしょうか。
上記の選手、どのくらい覚えておられるでしょうか。
メジャーリーグのスカウトなどが、甲子園での上記投球数を見聞すると、
異口同音に「Oh! クレージー」と言うのです。
最近は、甲子園でも、
複数投手育成のススメ、
肘や肩の大会前のチェック、
フィジカルトレーナーや専門家の常時待機、
準々決勝後の一日休養など
大会関係者も、努力はされており、そのこと自体は否定しません。
でも
「投げすぎで、有望な選手から潰される傾向にあります。」
平安高校の元監督で、亡くなられた中村雅彦先生から教えていただいた言葉です。
中村先生は、平安高校を春夏13度も甲子園に導き、広島カープの鉄人衣笠祥雄の監督・師匠でもありました。
先生が言われるように、先に潰され、本当に凄い投手をプロ野球で観ることができないとすれば、
本人が一番悔しいですが、私たちのスポーツを「観る権利」も侵害されることになります。
中村先生は、
監督や選手の自覚や自主性に任せるだけではダメ、
制度として規制するしか無いと言っておられました。
というのは、
特にトーナメント戦で決着することが多い、わが国の野球界では、その試合に負けると終わりです。
そのような試合で、エースが、肩や肘に違和感があると言っても、2番手・3番手よりは絶対に優れている。だから、結果を求める監督としては投げさせたい。
で、エースに投げるかと問えば、まず間違いなく「投げます」と答えるそうです。
それは、いわば選手の闘争本能でしょうし、チームメートに対する心配り(こころくばり)もあります。
そして、実際に投げると、やはり2番手・3番手よりは明らかに凄いし上手い。
と言うのです。
ぼくも、選手や現場の指導者に任せても、解決は絶対に無理なので、「制度として投球制限」などの規制を行うべきだと思います。
実は、ぼくは今年の熱夏、甲子園での驚異的な投球数、吉田輝星選手を心配しているんです。
5.一本の道 タラレバ
そうは言っても、ことはそう簡単ではありません。
甲子園で活躍した、平成の怪物松坂大輔は、そしてマー君こと田中将大も、メジャーで凄く活躍しているじゃないかと言う指摘もあるからです。
しかし、
実際は、高校までに投げすぎていなければ、既に日本に帰って来た松坂選手は、もっと活躍できたかもしれないのです。
高校や大学での公式戦で、あまり出番のなかった広島の黒田博樹投手の方が、松坂大輔よりは成績が良いではないか、との指摘もあります。
黒田は日本で124勝-105敗、メジャーで79勝-79敗。
松坂は日本で114勝ー40敗、メジャーで56勝ー40敗。
もっとも、この点は、勝率もの問題もあり、これ自体比較が難しいですが(笑)。
つまり、
選ぶまではいろんな道、可能性はあるのですが、選んだ後の結果・現実の道は1本だけです。
実際に異なる選択を行った場合の結果・現実は、タラレバの世界で分からないのです。
桑田真澄投手などは、高校時代、意識的に投げすぎないようにしていた、例えば行きたく内のにトイレに行くふりをして肩を休めたという趣旨のことを言っています。
もっとも、古い人は、確かに、権藤・権藤・雨・権藤の権藤博さんは、肩の酷使を言っておられたなとか、では400勝投手金田正一はどうだったんだ?、鉄腕稲尾和久は?、年間38勝4敗の杉浦忠は?などと、談義は尽きないでしょう。
いずれにしても、
その選手にとって、もっとも良いパフォーマンスを発揮できる環境を準備できることが、
選手にとってはもちろん、観る側にとっても至福の時なのですが、
それがどのような場合で、何時であるか、はっきり分かりません。
ただ、
身体が完成する前に、投げさせられすぎて悲運で泣く選手がいないように、
大人が出来るだけ合理的な制度を設計する、そのために知恵を出し合うことが大切です。
すっきりとした答えでなく申し訳ないのですが、これがぼくの結論です。
最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。
20181114
スポーツ弁護士のぶさん
それでは、
今日の一曲
夏から秋への歌でごめんなさい。
聞きたくなったので
石川さゆり
風の盆恋歌
です。
平和学としてのスポーツ法入門
(民事法研究会)より
今日は、引用はありません。
今日も
最後まで読んでいただき、
本当にありがとうございました
また、覗(のぞ)いてください。
出来るだけガンバって更新します。
詳しくは、
2020年までに、
平和を愛する人必読の
平和学としてのスポーツ法入門
2017年 民事法研究会 2800円+税
を読んでください。
筆者としては、
まずコラムを読んでいただきたいです。
また、
スポーツ基本法のコンメンタール部分は飛ばしていただき、
最後に読んでいただくと良いと思います。
2018(平成30)年11月14日
(NO.152)
スポーツ弁護士のぶさん こと
弁護士辻口信良
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→友人の辻井一基(つじいかずもと)君のブログで、
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