2020東京オリンピック日程
平和&スポーツあれこれ
7月21日に書いていたのに、発信(アップ)を忘れていました。
こんばんわ!
連日35度超の猛暑日が続いています。
ホント異常な暑さで、熱中症での死者も100人以上出ています。
大丈夫ですか!?
ぼくは、
スポーツの平和創造機能を語り続ける
スポーツ弁護士のぶさん です。
NO.143
では、本日は
お待ちかね
2020東京オリンピック
7月18日、
スイスのローザンヌでのIOC理事会で、日程の大枠が決定されました。
1.大会期間と競技開始時刻
7月24日~8月9日までの17日間。
史上最多の33競技、393種目。
酷暑が想定されるため、
マラソンは、立候補時に予定した時間を30分早め、午前7時からとする、
男子競歩は90分早めて午前6時スタート、
ゴルフは2時間早めて7時からとすることが決まったようです。
その後、19日、国際水泳連盟(FINA)が、
競泳決勝の時間帯を、午前中にすることで同意したと明らかにしました。
2.なぜそうなったの?
ぼくは、オリンピック大好き人間なのですが、競技の時間帯や日程については、大いに不満と不安があります。
(1) 開始時刻
まず、開始時刻についてですが、
なぜ、午前中に競泳決勝などをもってくるのかです。
実は、同じアジアで行われた2008北京(東京との時差1時間)のときにも、同じように午前の時間帯が組まれました。
それに対しては、選手・コーチなどから、
選手を蔑(ないがし)ろにするものだ、と強い批判がありました。
当時、日本代表選手は、直前合宿で、午前5時起床、6時練習開始のスケジュールで、
慣れない時間帯での練習・調整に苦労したとされています。
今回、日本水泳連盟や組織委員会は、選手の体調面を考慮し、
夕方以降の決勝を希望していたのですが、
IOCは、巨額の放映権料を支払う、
アメリカテレビ局の意向(北米のプライムタイムの時間帯)に合わせての競技時間設定になるようです。
もちろん、日本人選手だけでなく、
参加する全ての選手(アスリート)にとって、日頃行(おこな)っていない、つまり普通でない時間帯での競技では、ベストなパフォーマンスができないのは明らかです。
でも、そんなのはお構いなしなのです。
(2) 開催時期
日本の真夏とオリンピック
マラソンも早朝から行うのですが、みなさんも分かるとおり、じっとしているだけでも汗が噴き出る日本の真夏、そこで、
42.195㎞、競歩は50㎞、2時間以上、ぶっ通しに身体を動かし続けるのです。
しかもそれは、散歩やジョギングなどといった、ゆっくりした半端な動きではないことは、十分かりますよね。
でも、時間帯を朝にするのは、もちろんアスリート・ファーストの精神には反しますが、
まだまし、といって良いでしょう。
もっと問題は、酷暑日本の7月末から8月に開催される点です。
なぜ、これが起こったかと言えば、
今回の五輪、7~8月中に実施することを前提に立候補しなければならなかったからです。
で、そもそもなぜこの期間にオリンピックをするかというと、
特にアメリカの「4大スポーツ」のシーズンとのバッティングを避けるためです。
少し詳しく言うと、
MLB(メジャーリーグ、4~11月)
NBA(バスケット、11~6月)
NHL(アイスホッケー、11~6月)
NFL(アメフト、9~2月)
これらスポーツの競技シーズンを避けるためです。
MLBは7・8月もやっていますが、まだ佳境ではありません。
ちなみに、
全米オープンゴルフは6月、
全米オープンテニスは8月の最終月曜日から2週間
となっています。
要するに、これら「アメリカ」のスポーツの関係で、
(1)で述べたのと同じく、放映権、そしてそれにまつわるスポンサーによる制約ですね。
3.アスリート・ファースト
最近、スポーツの番組や記事で、よくこの言葉が使われます。
要するに、アスリートを大切に、中心に考えましょうということです。
ところが、ここでは、全くそのような配慮がなされていません。
もちろん、スポーツには
「する」「観る」「支える」権利があります。
ここでは「観る権利」が関係します。
確かに「観る権利」も大切ですが、中心になるべきは、やはり「する権利」です。
そして今、
競技時刻、より深刻には開催時期の問題で、
アスリートの立場が危うくなっているのです。
ちなみに、アメリカのニューヨークは東京と13時間の時差があり、ロサンゼルスはと16時間の差があります(東京が進んでいる)。
そして、今は「アメリカ・ファースト」に振り回され、
アスリートの立場が危うくなっているのです。
キツい言い方をすれば、
酷暑の中でもがくアスリートたちに対し、
「オリンピックに出場できたのだからいいでしょ!」と
サディスティック(?)に楽しみながら観る、これで良いのでしょうか。
アメリカ・ファーストあるいは収益源ファースト、
ではなく、
アスリートファーストへ、
スポーツを愛する者として、このことを訴えたいと思います。
4.オリンピック憲章
第1章 オリンピック・ムーブメント
オリンピック憲章第1章オリンピック・ムーブメントの
第2項では、IOCの使命と役割として、次のような規定があります。
第2項9号 選手への医療と選手の健康に関する対策を奨励し支援する。
10号 スポーツと選手を政治的または商業的に不適切に利用することに反対する。
とされているんです。
上記の規定の趣旨からすれば、2.に記載した早朝の競技や、日本の酷暑時期での競技は、当然避けなければならないはずです。
つまり、実際の健康面、オリンピック憲章からも、東京オリンピックでの競技については
大いに問題があるのです。
5.アメリカ国民へのお願い
ぼくは、実はアメリカが好きで、もちろんアメリカ国民にも敬意を払っています。
アメリカ国民は、スポーツを「観る権利」を持っていますが、そのアメリカ国民に対し、
次の譲歩をお願いをします。
ホントは、
今からでも開催時期を日本の秋にして欲しいところですが、そこは決定済みで動かせないとしたら、
せめて競技開始の時刻だけでも、アスリートがパフォーマンスを十分発揮できる、
現地日本の競技会でのスケジュール時間帯にして欲しいのです。
つまり、
アスリートの「する権利」を考えれば、
せめて競技開始時刻については、
観る人たちは、
眠い目をこすりながら、我慢して夜遅く、
あるいは、日本人がこの前、早朝午前3時からロシアでのサッカーWC、日本・ベルギー戦を観たように、我慢して観ていただく、
つまり、たまにはちょっと譲歩して下さい、
そんなお願いです。
そして、地球がとても広くて丸くて遠くて時差があること、
現地(日本)の様子をかいま見て国際社会を知ってほしいのです。
単純に、
アメリカは真夜中だけど、競技中の日本は真昼だとか・・・。
また、
前回1964年10月10日東京開会式の日のように、
メジャーリーグかアメフトかオリンピックを観るかの択一で、ちょっとは悩んで下さい。
しかも、
今はビデオがあるので、その悩みも全くたいした悩みではありません。
このままのスケジュールで東京オリンピックを強行すると、
熱中症で選手が倒れたり、観客にも死亡者が出たりするのではないか、
おそらく、
組織委員会やJOCの関係者は、
期間中、祈るような思いで過ごすことになるのではないでしょうか。
そのような悩みは、
「楽しみ」を第一とするスポーツにとって、あってはならない悩みです。
でも、実際死者が複数でるような悲劇が複数起きない限り、
資本の論理、収入源・商業主義の論理に、スポーツが踏みにじられたまま推移するのではないか、
改革が行われないのでは、と、何事も楽観的なぼくも、この点は悲観的に考えています。
6.スポーツ権の優越的地位
もっと分かりやすく言いましょう。
このクソ暑い時期、そしてその午前の時間帯に競技することで、もうかる人、もうかるグループがいるのです。
そうです、
資本の論理で、アスリートが、スポーツがいじめられていると考えましょう。
ぼくは、スポーツが大好きですし、オリンピックも大好き人間です。
しかし、資本の横暴を許すことで、
アスリートがベストのパフォーマンスを発揮できないとすれば、
それはスポーツの自殺行為であり悲しいことです。
アスリートにとって、
一番動きやすい時期、そして動きやすい時間帯に、
競技の中心を持って行くようにするのが、
IOCの役目であり、大会組織委員会やJOCもその実現に力を尽くすべきでしょう。
スポーツ基本法で明言しているとおり、
スポーツ権は基本的人権です。
その意味で、ぼくは、
資本に対するスポーツ権の優越的地位を主張したいと思います。
そして、東京オリンピックが、
オリンピック憲章にもあるように、
平和な国際社会に貢献できること、
ぼくの言葉では「スポーツの平和創造機能」に連なるよう、
スポーツ関係者の真剣で適切な対処を期待します。
よろしくお願いします。
それでは、
今日の一曲
夏です。
シーズン・イン・ザ・サン
TUBE(チューブ)
平和学としてのスポーツ法入門
(民事法研究会 )より
今日は具体的に引用はしませんが、
260p「スポーツ放映権」
284pコラム
「大阪オリンピックと国際平和主義」
を参照して下さい。
今日も
最後まで読んでいただき、
本当にありがとうございました
また、覗(のぞ)いてください。
詳しくは、
2020年までに、
平和を愛する人必読の
平和学としてのスポーツ法入門
2017年 民事法研究会 2800円+税
を読んでください。
筆者としては、
まずコラムを読んでいただきたいです。
また、
スポーツ基本法のコンメンタール部分は飛ばしていただき、
最後に読んでいただくと良いと思います。
2018(平成30)年7月30日
(NO.143)
スポーツ弁護士のぶさん こと
弁護士辻口信良
太陽法律事務所
住所 〒530-0047
大阪市北区西天満4-8-2
北ビル本館4階
TEL 06-6361-8888
FAX 06-6361-8889
e-mail
nob@taiyo-law.jp
→友人の辻井一基(つじいかずもと)君のブログで、
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