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2017年4月 9日 (日)

スポーツと暴力 その2

こんにちは 

2017年4月3日の

スポーツと暴力の続きです。

講義を担当している

龍谷大学関西大学で、いつも行う

体罰・暴力についての<質問>を、

一緒に考えてください、

といいました。

質問> は、こうでした。

スポーツや教育の現場で、

 指導者による懲戒や体罰が問題になることがあります。

 「愛の鞭(むち)」とも呼ばれるこの行為について、

 自身の体験もふまえ、賛成・反対

 それぞれの考えを、述べてください。

大学では、いつも同じような結果になります。

1.約半数が体罰・暴力を受けたことがある。

 2.体罰・暴力を受けた人の半数以上が、

  そのことを非難しない。

◆ 体罰・暴力肯定者

① 自分に非があったので、体罰してくれた先生には感謝している。

 ② 叱咤激励の意味だったと思う。

 ③ 人格形成の場だった。

 ④ 泣きながら先生が叩いてくれ、感動した。

 ⑤ 殴らないと分からないヤツもいる。

 ⑥ ケガをしない程度なら構わない。

 などです。

◆ 体罰・暴力否定者

① 自分(先生)の感情で殴っていた。

 ② 本当に愛情があれば、体罰などしない。

 ③ 言葉で説明できないのは、指導者として失格。

 ④ 言うことを聞かない部員は、練習させなかったり、

      部活を辞めさせればよい。

 ⑤ 今でも恨んでいる。

 ⑥ 叩きやすいヤツを選んで叩いていた。

などです。

 あなたの答えは、どうでしたか?

それぞれの生い立ちや、個人的体験から、

いろいろな意見が出ますが、

指導者の中には、

上手くなってほしいので」「壁を破ってほしかったので

と弁解する人も、かなりいます。

 確かに、

その気持ちは分からないでもありませんが、

叩く(たたく)以外に、方法はなかったのでしょうか?

 人格形成に役立ったと、感謝する学生もいますが、

そのような学生は、

スポーツでの成績が良く、いわゆる成功者

勝ち組として現在がある人

が多いように思います。

 他方で、今も恨んでいる学生もいるのです。

体罰・暴力で

スポーツが嫌いになったり、スポーツを辞めた人もいたし、

現在もいる、と思います。

 ぼくは、現場で指導したことはありません。

そして、

実際に現場で指導した人、している人の話を聞くと、

正直、そんなきれいごとだけで、説明はできません。

 先に述べた二つの事件が起こった後

部活の教師に、「殴ってみいや!

などといって、挑発する生徒もいると聞きました。

 でも、

結論としては、

体罰をするのは、

やはり指導者として未熟、指導者けの負けだと思います。

ぼくの本、平和学としてのスポーツ法入門の、

別のところでも述べていますが、

体罰・暴力なしでの指導、

それを、工夫するのが真のスポーツ指導者です。

 当然のことですが、

スポーツには、

フィジカルな技術だけでなく、

知恵や医学的・心理学的要素も必要であり、

優れた指導者を目指すのであれば、

なおさら、体罰・暴力以外で指導する工夫・研究をすべきですし、

その追求が、

指導者の楽しみであり、醍醐味でもあると思います。

 それと、

スポーツは、楽しむのが基本で、

みんなが、

オリンピックや世界選手権、またプロを

目指したり、一流になれるわけでは、ありませんし、

そもそも、

体罰や暴力で強制されたら、

楽しくありません。

もちろん

法律では、

体罰や暴力は禁止されていて違法です。

★ 学校教育法11条(懲戒と体罰)

・ 校長及び教員は、教育上必要があると認めるときは、児童、生徒および学生に懲戒を加えることができる。 ただし、体罰を加えることはできない。

★ 刑法208条(暴行)・204条(傷害)

・ 暴行を加えた者は、2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金

または拘留もしくは科料に処する。

・ 人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役または50万円以下の罰金に処する。

★ 民法709条(不法行為による損害賠償)

・ 故意または過失によって、他人の権利・利益を侵した者は、

損害を賠償する責任を負う。

などです。

次回は、暴力指導者の類型について、

一緒に考えましょう。

はい、少し休憩で

春のシリーズは、

森山直太朗さくらです。

 

おまけのひとこと

お花見は、行かれましたか?

桜の花があまりにキレイで豪華なので、

ふつうは、気付かなかったり、意識もしません。

でも

気を付けて見て下さい。

大地に根を張っている根っこ、太い幹の存在、

ごつごつした桜の木の土台部分

かわいく、華やかな、

さくらの花に似つかわしくない

この本体が、

華やかさの源(みなもと)であることを、

知っておくことは、大切ですよ。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました 

※ 明日、書く時間がなさそうなので、

  今日アップしました(ごめんなさい )。

2017(平成29)年4月9日

スポーツ弁護士のぶさんこと

太陽法律事務所 弁護士辻口信良

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コメント

今日は

興味深く読ませていただいています。

大学で教えていて、最近の学生の気質は、どんなものなんでしょうか?

次回のアップを、楽しみにしていますので、また、興味深い話を聞かせて下さい

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